この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告
潤んだ視界の中、端正な美貌が近づいてくる。
貴族的な額にかかる、さらりとした髪。
女のように長い睫毛。
細くまっすぐな鼻梁。
肉の薄い頬から顎にかけての完璧なライン。
すべてがぞっとするほど美しく、官能的だった。
(キスされる……)
あきらめにも似た感情で、自然に瞼を落とし、顎を上げて待ちかまえた。
亮の唇が触れたのは、真波の唇ではなかった。
喉首を強く吸われた。
(あ……)
魂まで吸い取られるようだった。
恍惚が走り、全身が妖しく慄いた。
美術館の壁に背をあずけ、真波はずるずると、その場に崩れ落ちていった。