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Q 強制受精で生まれる私
第10章 4.0度目
「分かりますよね? 排卵検査薬で見てもこの通りです。この色の濃さ。間違いなくLHサージ…ホルモン分泌が起きている何よりの証拠です。」

「嘘よ!! そんなの嘘よ!! これは別の女の物に違いないわ!! 第一私は貴方に何も渡していない!! 検査なんかできる訳が無いじゃない!!」

「あはは!! 何も献体を渡してないって、本気で言ってますそれ? 一昨日あんなに出したのにもう忘れてしまったのですか?」

 一昨日…私は必死で思い返してすぐに後悔する。実験動物のように管に繋がれ、私の意志とは無関係に出された、カテーテルの採尿。あの人間を物とも扱わない非道な処置で受けた恥辱が全てフラッシュバックし、再び私の精神を苦しめる。

「体温計は割られてしまいましたし、このままでは測定できないと困っていたのですが、心配御無用。もっと確実な判断材料が手元にあるじゃないですか。早速検査したら陽性と出るもんだから、こうして急いで来た訳ですよ。」

「こ…のぉ…どこまでデリカシーが無いのよ!! この恥知らず!! 人でなし!!」

「はいはい。癇癪持ちなのは分かっていますが、青筋立ててないで治療を再開しますよ。一分一秒だって惜しいんですから、こんな好機。」

 先生はパンツのベルトに手をかけて、ビビッドな黄色のボクサーブリーフを露にする。ショーツに負けないフィット感と艶やかさを強調するかのような盛り上がるを見せるアレに思わず釘付けになるも、一瞬で我に返り性欲の権化から逃げ出そうと懸命に立ち上がる。

「いやぁ…嫌ぁ!! こっち来ないでっ!!」

 おぼつかない足取りでその場から逃げようとするも、ここはアパートの中。玄関はもちろん、唯一の鍵付きの小部屋も微笑みながらゆっくりと近付いてくる先生の背後にあり、逃げると言ってもリビングしか選択肢は残されていなかった。
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