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Q 強制受精で生まれる私
第12章 4.9度目
「…百聞は一見に如かず。現物を見せて説明をした方が、貴方の場合は納得しやすいでしょう。」

 先生はそう言って引き出しからシャーレを取り出し、私に見せつけるように机に置く。円形のプラスチックケースの中には、見たことがある形状の物が入ってる。小さい楕円形に細長い紐みたいなのが付いているそれは、私が先生の精子を取り除こうと入れた、あの時のタンポンだとしばし凝視した末に気付く。

 というのも、色が全然違っているからすぐに気が付くことができなかった。白一色だったはずのそれは、ビビッドな黄色を呈する毒々しい何かに覆われており、ところどころに僅かな凹凸を形成している。そのあまりの気持ち悪さに思わず総毛立つ。

「これは…」

「タンポンだった物ですよ。ご自分が私から盗んでまで着けていたんだからさすがに分かるでしょう? まぁ、今はご覧の通り黄色ブドウ球菌に覆われてしまっていますが。」

 聞き慣れない単語をさも当たり前のように言われたためか一瞬怯んでしまう。何菌だか知らないけど、要はこの菌にお前は殺されかけたのだということを言いたいのだと察する。そんな何となく分かっているような雰囲気を出しているのを悟られたのか、先生はますます不機嫌になっていく。

「黄色ブドウ球菌…エンテロトキシンという毒素を持つ危険な菌です。そのくせヒトの鼻腔や手指等に広く生息する常在菌ですから、厄介なことこの上ない菌です。傷を負ったら必ず絆創膏を貼ったり、消毒するでしょう? こういう菌の毒素が体に入り込まないためにするためです。」

「…これが私の中で繁殖したってことですか?」

「トキシックショック症候群という急性疾患がありましてね。この菌の毒素が大量に産生されることで、高熱等の様々な合併症が出るんですよ。化膿した傷口から主に発症しますが、稀にタンポン使用者からも発症することがあります。一応膣内にも黄色ブドウ球菌はいますし、タンポンによっては材質の中には菌の餌になる物も含まれている物もありますからね。」

 先生はそう語りながらも立ち上がっては室内をゆっくりとうろうろ歩き、一通り歩いては席に着いたりと忙しなく動き回る。その挙動不審な様は、まるで今にも爆発しそうな怒りを抑えこもうと躍起になっている様に感じられる。
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