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Q 強制受精で生まれる私
第13章 5.0度目
 中はやっぱり真っ暗で、部屋の奥…診察室から弱々しく漏れ出す青白い光ですら眩しく感じる。こんな明かりの蛍光灯はここにはなく、パソコンとかテレビとかの類いを思わせる寒色光が数多の線になって、私に部屋に入れと誘いかける。私は蛾の様にフラフラと物言わぬ手招きに吸い寄せられる。

 ドア手前までおびき寄せられた私に、二人分の艶のある声が出迎える。あんあんといななく絞り出すような肉声。パンパンと響き渡る軽快な肉打音。それらにかき消されつつも、確かな存在感を放つ雄の吐息。奥で何が繰り広げられているかは明白だ。

 そっとドアを開けて、すっかり癖になってしまった覗きをする。あの人のお眼鏡にかなった次の女性はどんな人だろうかと一目見ようと、僅か数センチの隙間に目を凝らす。

 そこには誰が見ても美しいと思える裸の女の人が、折角の整った顔が台無しになってしまうのではないかと思う程、大きく崩しながら喘いでいる姿があった。続けて私の視界に飛び込んできたのは、その美女を余すことなく堪能する先生…じゃなくて全く見知らぬ男だった。それらが私の目線高さまであるベッドの上で、誰かに見せつけるかのようにこれでもかと肌色一色の淫猥劇をさらけ出している。

 ストリップと呼ぶには度が過ぎるセックスショーは、劇場にしては小さすぎるステージで、たった一人の観客に向けて行われているようだった。VIPに等しいその観客は、この世の何よりも興奮を覚える過激なショーを前に満足しつつも、決定打となる何かが足りないのか不満と苛立ちを荒い吐息に変えて辺りに撒き散らす。

 その体は小刻みに上下に揺れ、びんびんにいきり立つ男の象徴を筒状に形作った手で、揺れに任せて激しくしごく。どこかの部族を思わせる力強いその姿は、まさしく男のオナニーそのものだった。

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