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Q 強制受精で生まれる私
第6章 2.5度目
 あれからどれ位の間、眠っていたのだろう?

 まだ一時間も経っていない様な…一生分の惰眠を費やしてしまったかの様な…とにかく、頭が酷くぼやけている…気がする。

 はっきりしないのは頭だけじゃない。視界までおかしくなってしまったみたいだ。きっと、私はあの後ショックか何かで死んでしまったのだろう。

 
 だって、そうじゃなきゃ、どうして目の前に無数の机と黒板が広がっているだろう…?


 目の前の光景は誰がどう見ても一般的な学校の教室だ…いわゆる走馬灯というものだろうか? 記憶はないけれど、義務教育なんだから中学までは私も行っていたはずだし…ここは私が通っていた学校なのだろうか?

 教室は人の動きが何一つない静寂に包まれている。かといって、人っ子一人いない訳ではない。黒板前の、窓際の席に突っ伏している子が一人だけ、静かな教室の景色と同化している。背格好から女の子…だろうか? 生きているのか、それとも人型の置物なのか分からないそれに私は近付き、ここは何処か聞こうと肩を揺すろうとする。

「_________。」

 …声が出ない。肩に置いたはずの手には感触がなく、いくら揺すってみても体はピクリとも動かず、目の前の人形は相変わらず沈黙を貫いている。やっぱり、ここは死後の世界なんだ。私は今、魂やら幽霊やら、とにかく肉を持たない存在になっていて…なら、これは生前の私の記憶、ということになるのかな?
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