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Q 強制受精で生まれる私
第8章 3.0度目
「な、何で? 何も力入れてないのに、勝手に!? やだ、見ないで恥ずかしいよぉ!!」

 音もなくチュウチュウ吸われる黄金水を、先生は真剣な眼差しで追いかけ、管の中心部を過ぎると私の股横にある尿瓶に出口を入れる。やがてチューブが眩しい黄色に染まりきると、ジョロジョロと瓶の中に排出される。

「いやぁ…おもらしいやぁ…」

「やっぱり結構貯まっていたではありませんか。だから出してきた方がいいのではと言ったのに。痩せ我慢なんてするからですよ。」

 私は粗相をしたという認めたくない現実から目を背るために、両目を手で塞ぐ。この時程人間に腕が二本しかないことを恨んだことはない。塞ぐことができない耳は忠実に役割を果たし、私の脳裏に恥辱の音を刻みこんでいく。

 音が止むとスルリと何かが中で動いて、キュポという軽快な音と共に異物感が綺麗に消え去った。静寂な暗闇の中で私は辱しめが終わりを告げたことを悟る。

「いやー思ってたより結構ありましたよ。やっぱり処理しといてよかった…もう終わりましたから目を開けても大丈夫ですよ?」

「…ころす。絶対いつか殺す!!」

「この職業上恨まれることは多々ありますが、直接言われるのは穏やかじゃありませんねぇ。とはいえ今回は怒られる筋合いは無いと思いますよ。普通の方ならこんなことせずとも素直にトイレに行きますから。」

 まるで私のことを物好きの変態みたいに扱う先生に、私はついカッとなって診察台の枕を投げつけようとする。だけど、それを予知していたのか枕は台にしっかりと固定されていて、持ち上げることすら叶わなかった。

「さて、と。お待たせしました。今から本日の治療を始めー」
「今日は何されるのよ!? ご託はいいからさっさとしてよ!!」

 恥ずかしさと情けなさが頂点に達して、全てが怒りに変わって先生の長ったらしい解説を遮る。抵抗ができないという状況をカメラに収めるためには、この男の凌辱に対して無抵抗に耐えなければならないのだが、この時ほどそれを呪ったことはない。こんな状況じゃなかったら今すぐにでも絞め殺してやるのに、歯がゆくて仕方ない。
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