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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第6章 心中サアカスと惑溺のグランギニョル
 濡れて光る紅色のくちびるがぱっくりと開き、唾液の絡まるざらついた舌が、湿った音を立てて割れ目に触れるのを、リオはどこか遠くで見ていた。

「ひゅ、ひ、ィ、あッ……!?」

 細い両の手で関節を押さえられれば、抵抗することもできない。無意識に爪先がピンと伸びる。


 内太ももを舐め、尻肉を甘噛みし、恥丘にくちづけをして。

 それだけでリオの羞恥は限界を迎えるというのに、いつのまにか腫れあがっていた蕾を舐め上げられた瞬間、視界はじわり、快楽に滲んだ。

 そのまま、唾液で湿った口腔で、小さくそそり立った突起を吸い上げられて。内股が、攣ったような感覚。直後、ぱちり、目蓋の裏に白い電流が走る。

「は、ァ、あ、あ、あぁ、ッ!」

 びく、人形のような肢体が大袈裟に震えて、直後、くたりと支えを失った。

 陽色はそれで、ようやく頭をあげる。人形じみた顔が、人間のように真赤に上気している。え、あんた、もしかして、イッたの。

「うれしい!」
「イく、」
「うん、イく」

 寝台の熱にあてられた頭を、やっとのことで動かして、決して忘れてしまわぬよう、その言葉を覚える。

 リオは陽色の知らぬことを、大抵は知っているだろう。
 同じように、陽色はリオの知らぬことの、大抵は知っている。

 もたらされた情報は甘美で、陽色の手によって自らの何かが変えられたということがうれしくて、いっそすべてを捧げ、捧げてくれたら、等と、隷属とも支配とも似つかぬ衝動が沸き上がってきた。

「ん、わたし、イくの、すき、だ。もっと、イくの、したい、……ッ」
「ほんとう? うふふ、やっぱり、あんた、かわいいなあ」

 陽色は、柔らかく口角をあげて、無邪気な子どもとよく似た笑顔を見せる。それから、再び、リオの秘所に舌を埋めた。
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