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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第5章 5章 陰謀渦巻く舞踏会

(あれだけ自分を嫌っている人がいるんだから、疲れてるんだわ)
気にしないようにしていたが、耳を澄ませるとふたりの悪口を言っているのが聞こえる。カミリアはこうしてリュゼに助けられて気持ちが楽になったが、彼女は今までずっとひとりで耐えてきたはずだ。
カミリアは、少しでもリュゼの力になりたいと思った。
ふたりは時間になるまで、雑談を楽しんだ。リュゼは自分の体験談を混じえ、舞踏会や晩餐会で気をつけるべきことや、男性のあしらい方などを教えてくれた。彼女の話は面白くて、カミリアはすっかり聞き入っていた。
時間になったことを使用人が知らせに来ると、リュゼはとびきりの笑顔をカミリアに向けた。
「ソニア、何か困ったことがあったらいつでも聞いてね。明日、舞踏会場で会いましょう」
「ありがとう、リュゼ。とても心強いわ」
別れの挨拶を交わすと、リュゼは先に部屋を出た。カミリアはここでラウルを待つことになっているため、椅子に座り直す。
ご令嬢達がほとんどいなくなった頃、ようやくラウルが迎えに来てくれた。彼の元へ行こうとすると、黒髪の令嬢に呼び止められた。気弱そうな顔は、昔のハーディにどことなく似ている。
「あの、リュゼには気をつけて」
「どういうこと?」
黒髪の令嬢は何も答えず、うつむき加減で部屋を出ていった。カミリアはリュゼを僻んだ彼女達の嫌がらせだろうと思い、聞き流すことにした。
屋敷に帰って湯浴みを終えると、ラウルとお茶を飲みながら話をする。
「今日の晩餐会、どうだった? ほら、食事が終わった後、女性だけ別室に行っただろう? 嫌がらせとかされなかった?」
「悪口を言う人達はいたけど、リュゼって子がいてくれたから大丈夫。とても優しくて、頼りになる子なの」
「そっか、いい友達が出来たようで安心したよ」
(友達、か……)
友達という言葉に胸があたたかくなる。負けず嫌いで男勝りな性格から、友達はハーディしかいなかった。ハーディさえいてくれればいいと思っていたが、新しい友達ができるのは喜ばしいことだ。
気にしないようにしていたが、耳を澄ませるとふたりの悪口を言っているのが聞こえる。カミリアはこうしてリュゼに助けられて気持ちが楽になったが、彼女は今までずっとひとりで耐えてきたはずだ。
カミリアは、少しでもリュゼの力になりたいと思った。
ふたりは時間になるまで、雑談を楽しんだ。リュゼは自分の体験談を混じえ、舞踏会や晩餐会で気をつけるべきことや、男性のあしらい方などを教えてくれた。彼女の話は面白くて、カミリアはすっかり聞き入っていた。
時間になったことを使用人が知らせに来ると、リュゼはとびきりの笑顔をカミリアに向けた。
「ソニア、何か困ったことがあったらいつでも聞いてね。明日、舞踏会場で会いましょう」
「ありがとう、リュゼ。とても心強いわ」
別れの挨拶を交わすと、リュゼは先に部屋を出た。カミリアはここでラウルを待つことになっているため、椅子に座り直す。
ご令嬢達がほとんどいなくなった頃、ようやくラウルが迎えに来てくれた。彼の元へ行こうとすると、黒髪の令嬢に呼び止められた。気弱そうな顔は、昔のハーディにどことなく似ている。
「あの、リュゼには気をつけて」
「どういうこと?」
黒髪の令嬢は何も答えず、うつむき加減で部屋を出ていった。カミリアはリュゼを僻んだ彼女達の嫌がらせだろうと思い、聞き流すことにした。
屋敷に帰って湯浴みを終えると、ラウルとお茶を飲みながら話をする。
「今日の晩餐会、どうだった? ほら、食事が終わった後、女性だけ別室に行っただろう? 嫌がらせとかされなかった?」
「悪口を言う人達はいたけど、リュゼって子がいてくれたから大丈夫。とても優しくて、頼りになる子なの」
「そっか、いい友達が出来たようで安心したよ」
(友達、か……)
友達という言葉に胸があたたかくなる。負けず嫌いで男勝りな性格から、友達はハーディしかいなかった。ハーディさえいてくれればいいと思っていたが、新しい友達ができるのは喜ばしいことだ。

