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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ

「おいおい、なんの騒ぎだ?」
煩わしそうな声に、騎士達は道を開けた。険しい顔をしていたラートだったが、カミリアを見た途端、笑顔になる。
「副団長! 任務は終わったんですか?」
隊長である彼の言葉に、極秘任務どころか交友パーティの話すらされていないことを知る。2週間後に迫っているから、てっきり話がいってると思ったが、違ったようだ。
「いや、任務の最中だ。少し時間が出来たから、こうして皆の顔を見に来たんだ。土産もある」
「フェガリのお菓子とお酒だよ。皆で分けてね」
カミリアとラウルが持っていた紙袋を持ち上げると、近くにいた騎士達が持ってくれた。
「ありがとうございます!」
「大事にいただきます」
騎士達は紙袋を大事そうに抱え、宿舎に持っていく。嬉しそうに話をしながら運ぶ後ろ姿は、逞しくも微笑ましい。
「お前ら、つまみ食いすんなよ!」
「分かってますよ=!」
「ラート隊長こそ、あとでこっそりお酒飲まないでくださいよ=!」
ラートが荷物運びの騎士達に大声で言うと、軽口が返ってくる。少し前までは、彼らのこういったやり取りが羨ましかったのを思い出す。否、羨ましいのは今も変わりない。だいぶ距離が縮んだとはいえ、軽口を叩いてくる者はいない。カミリアは彼らともっと打ち解ける努力をしようと、密かに決意した。
「ところで副団長、綺麗になったんじゃないですか? 一瞬、どこのお嬢様がうちの鎧を着てるんだって思いましたよ」
ラートの言葉に、冷や汗が流れる。正式に令嬢になったわけではないが、令嬢のフリをするために、教養を身に着けている最中だ。それを知ったら、ラートは笑うだろう。
「つまらないお世辞を言うな。そんなことより皆、30分後に授業を開こうと思ってるんだが、どうだろう?」
カミリアの提案に、騎士達は歓声を上げる。まさかここまで喜ばれるとは思ってもみなかった。驚きと喜びを胸に抱えながら、彼らに微笑みかける。
それは氷の戦乙女と呼ばれ、笑っても冷笑しかしないと言われていた頃には考えられないほど、穏やかな笑みだった。
煩わしそうな声に、騎士達は道を開けた。険しい顔をしていたラートだったが、カミリアを見た途端、笑顔になる。
「副団長! 任務は終わったんですか?」
隊長である彼の言葉に、極秘任務どころか交友パーティの話すらされていないことを知る。2週間後に迫っているから、てっきり話がいってると思ったが、違ったようだ。
「いや、任務の最中だ。少し時間が出来たから、こうして皆の顔を見に来たんだ。土産もある」
「フェガリのお菓子とお酒だよ。皆で分けてね」
カミリアとラウルが持っていた紙袋を持ち上げると、近くにいた騎士達が持ってくれた。
「ありがとうございます!」
「大事にいただきます」
騎士達は紙袋を大事そうに抱え、宿舎に持っていく。嬉しそうに話をしながら運ぶ後ろ姿は、逞しくも微笑ましい。
「お前ら、つまみ食いすんなよ!」
「分かってますよ=!」
「ラート隊長こそ、あとでこっそりお酒飲まないでくださいよ=!」
ラートが荷物運びの騎士達に大声で言うと、軽口が返ってくる。少し前までは、彼らのこういったやり取りが羨ましかったのを思い出す。否、羨ましいのは今も変わりない。だいぶ距離が縮んだとはいえ、軽口を叩いてくる者はいない。カミリアは彼らともっと打ち解ける努力をしようと、密かに決意した。
「ところで副団長、綺麗になったんじゃないですか? 一瞬、どこのお嬢様がうちの鎧を着てるんだって思いましたよ」
ラートの言葉に、冷や汗が流れる。正式に令嬢になったわけではないが、令嬢のフリをするために、教養を身に着けている最中だ。それを知ったら、ラートは笑うだろう。
「つまらないお世辞を言うな。そんなことより皆、30分後に授業を開こうと思ってるんだが、どうだろう?」
カミリアの提案に、騎士達は歓声を上げる。まさかここまで喜ばれるとは思ってもみなかった。驚きと喜びを胸に抱えながら、彼らに微笑みかける。
それは氷の戦乙女と呼ばれ、笑っても冷笑しかしないと言われていた頃には考えられないほど、穏やかな笑みだった。

