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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ

「ひどい汗だな……」
カミリアはハンカチでラウルの汗を拭う。すると頬の赤みが更に赤くなった。よく見るとラウルは化粧をしていた。ハンカチで丁寧に拭いて化粧を落とすと、顔は発熱で真っ赤になり、目の下には濃い隈ができていた。
「随分と無理をなさったようですね」
ラウルの顔を覗き込むメディナは、深刻そうな顔をする。
「診察の邪魔になってはいけないから、私は外で待ってるよ」
「お気遣い、ありがとうございます」
一礼するメディナを一瞥すると、カミリアはキャリッジから出て、深呼吸をする。そっと胸に触れると、鼓動がはやくなっているのが嫌でも分かる。
ラウルが体調を崩したことに、酷く心が乱されていた。ハーディが高熱で倒れた時だって、ここまで焦ったりはしなかった。だが、ラウルの辛そうな顔を見ているだけで、心が痛む。
メディナには邪魔をしないためと言ったが、本当はカミリアが自分を落ち着かせたかったからに他ならない。
(どうしてこんなに不安になるの? ただの風邪なのに)
自分に言い聞かせるが、自分を騙せるほど、カミリアは器用じゃない。本当は、ラウルの体調不良に気づけなかった自分に嫌気が差している。異変に気づくチャンスはいくらでもあった。それなのに、久方ぶりにシャムスに帰れたからと浮かれ、ラウルを気にかけなかった。
1週間も一緒に食事ができないほど、ラウルは多忙だった。そのことを考えれば、いつ体調を崩してもおかしくないと気づけたはずだ。いつも気遣われてばかりで、ラウルを気遣えなかった自分が腹立たしい。
「大したことなければいいんだけど……」
本音が零れ落ちるのとほぼ同時に、メディナがキャリッジから出てきた。カミリアは祈りながら、メディナを見つめる。
「お連れ様は風邪と過労です。過労で免疫が落ちている時に風邪を引いてしまったので、余計に症状が悪化したのでしょう。今、お薬を持ってきますね」
メディナが店に戻るのを見届けると、カミリアはキャリッジに入る。ラウルは相変わらずぐったり横たわっている。
カミリアはハンカチでラウルの汗を拭う。すると頬の赤みが更に赤くなった。よく見るとラウルは化粧をしていた。ハンカチで丁寧に拭いて化粧を落とすと、顔は発熱で真っ赤になり、目の下には濃い隈ができていた。
「随分と無理をなさったようですね」
ラウルの顔を覗き込むメディナは、深刻そうな顔をする。
「診察の邪魔になってはいけないから、私は外で待ってるよ」
「お気遣い、ありがとうございます」
一礼するメディナを一瞥すると、カミリアはキャリッジから出て、深呼吸をする。そっと胸に触れると、鼓動がはやくなっているのが嫌でも分かる。
ラウルが体調を崩したことに、酷く心が乱されていた。ハーディが高熱で倒れた時だって、ここまで焦ったりはしなかった。だが、ラウルの辛そうな顔を見ているだけで、心が痛む。
メディナには邪魔をしないためと言ったが、本当はカミリアが自分を落ち着かせたかったからに他ならない。
(どうしてこんなに不安になるの? ただの風邪なのに)
自分に言い聞かせるが、自分を騙せるほど、カミリアは器用じゃない。本当は、ラウルの体調不良に気づけなかった自分に嫌気が差している。異変に気づくチャンスはいくらでもあった。それなのに、久方ぶりにシャムスに帰れたからと浮かれ、ラウルを気にかけなかった。
1週間も一緒に食事ができないほど、ラウルは多忙だった。そのことを考えれば、いつ体調を崩してもおかしくないと気づけたはずだ。いつも気遣われてばかりで、ラウルを気遣えなかった自分が腹立たしい。
「大したことなければいいんだけど……」
本音が零れ落ちるのとほぼ同時に、メディナがキャリッジから出てきた。カミリアは祈りながら、メディナを見つめる。
「お連れ様は風邪と過労です。過労で免疫が落ちている時に風邪を引いてしまったので、余計に症状が悪化したのでしょう。今、お薬を持ってきますね」
メディナが店に戻るのを見届けると、カミリアはキャリッジに入る。ラウルは相変わらずぐったり横たわっている。

