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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ

「あなた、ラウルの執事ね? 話は後。ラウルをベッドに寝かせたいから、布団をめくってくれる?」
男は何か言いかけるが、口を噤み、布団をめくった。カミリアがラウルを寝かせると、男は布団をかけてカミリアに向き直る。
「それで、貴女は……」
ドアが開き、男の言葉が遮られる。桶を乗せたワゴンを押しながら、ルナが入ってくる。彼女はベッドの近くにワゴンを運ぶと、男を睨みつけた。
「オネスト、ソニア様に向かって失礼じゃない!」
「ソニア様? この女が?」
オネストはカミリアを横目で見ると、鼻で笑う。カミリアはこの男が本当に執事なのか疑う。今まで見てきた執事は、裏でどんなに主の悪口を言おうが、見事に忠誠を誓った使用人を演じていた。ここまで傍若無人な執事は、見たことがない。
「この女がソニア様なら、どうしてシャムスの騎士なんかの鎧を着ているんだ?」
「きっと、何か事情があるのよ。ラウル様を想うのなら、はやく医者を呼んできて。医者の連絡先を知ってるのは、あなただけなんだから」
「忌々しいシャムス人め」
「オネスト!」
オネストはカミリアを睨みつけ、吐き捨てるように言う。ルナが咎めるが、彼は何も言わずに部屋を出た。
「申し訳ありません、ソニア様! オネストは、ラウル様以外に心を開いてなくて……」
ルナは眉尻を下げ、深々と頭を下げた。カミリアは片膝をつき、彼女の肩に手を置く。
「いいの、きっと何か事情があるのでしょう。そういえば、馬車の中に紙袋がなかった? あれには薬が入ってるんだけど、ここに持ってきてもらえる?」
「ソニア様はお優しいですね。ラウル様が見初めるのも分かります。お薬、取ってきますね」
ルナは顔を上げるなりほころぶような笑顔を見せ、部屋から出ていった。
「見初めるって……。あなたは使用人達に、私のことをなんて話したの?」
ラウル以外の人間から彼の想いを聞かされるのは恥ずかしいが、不思議と悪い気はしない。くすぐったい気持ちになってラウルに聞くが、彼はすやすやと寝息を立てるだけ。
男は何か言いかけるが、口を噤み、布団をめくった。カミリアがラウルを寝かせると、男は布団をかけてカミリアに向き直る。
「それで、貴女は……」
ドアが開き、男の言葉が遮られる。桶を乗せたワゴンを押しながら、ルナが入ってくる。彼女はベッドの近くにワゴンを運ぶと、男を睨みつけた。
「オネスト、ソニア様に向かって失礼じゃない!」
「ソニア様? この女が?」
オネストはカミリアを横目で見ると、鼻で笑う。カミリアはこの男が本当に執事なのか疑う。今まで見てきた執事は、裏でどんなに主の悪口を言おうが、見事に忠誠を誓った使用人を演じていた。ここまで傍若無人な執事は、見たことがない。
「この女がソニア様なら、どうしてシャムスの騎士なんかの鎧を着ているんだ?」
「きっと、何か事情があるのよ。ラウル様を想うのなら、はやく医者を呼んできて。医者の連絡先を知ってるのは、あなただけなんだから」
「忌々しいシャムス人め」
「オネスト!」
オネストはカミリアを睨みつけ、吐き捨てるように言う。ルナが咎めるが、彼は何も言わずに部屋を出た。
「申し訳ありません、ソニア様! オネストは、ラウル様以外に心を開いてなくて……」
ルナは眉尻を下げ、深々と頭を下げた。カミリアは片膝をつき、彼女の肩に手を置く。
「いいの、きっと何か事情があるのでしょう。そういえば、馬車の中に紙袋がなかった? あれには薬が入ってるんだけど、ここに持ってきてもらえる?」
「ソニア様はお優しいですね。ラウル様が見初めるのも分かります。お薬、取ってきますね」
ルナは顔を上げるなりほころぶような笑顔を見せ、部屋から出ていった。
「見初めるって……。あなたは使用人達に、私のことをなんて話したの?」
ラウル以外の人間から彼の想いを聞かされるのは恥ずかしいが、不思議と悪い気はしない。くすぐったい気持ちになってラウルに聞くが、彼はすやすやと寝息を立てるだけ。

