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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠ 
 普通ならば、そこまで学校側が関与することはないのだが、ある生徒が二人のあまりの親密ぶりを親に話したところ、父兄の方から匿名で二人の関係について問い合わせがあり、全体の風紀を乱す元になりはしないのかと苦言を呈されたという。それで、やむなく二人を呼んで訊ねたという説明がなされた。
―俺たち、絶対に疚しいことなんてしてません。
 直輝は男らしく堂々と応え、そんな彼を紗英子は頼もしく見ていた。
 確かに、当時はまだキスさえしたことがなかった。同じ高校に通い出した高校一年の夏休みに海へ行った帰りにファーストキスを交わし、初めてホテルで身体を重ねたのは大学三年のときだ。初めて結ばれたその日に、直輝は紗英子にプロポーズした。
 既にその時、付き合い始めてから、八年の年月が流れていた。直輝は一度も結婚なんて口にしたことはなかったけれど、紗英子は自分たちがいずれそうなることを予感していた。
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