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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
しかし、あの時、有喜菜に二人を仲違いさせてやろうという邪心がなかったと誰が言い切れるだろう。―そう考えてしまうのは、自分の心が歪んでいるせいだろうか。
「直輝さんって、やけに有喜菜を庇うのね」
思わず落ちた呟きを直輝は聞き逃さなかった。
「煩い。良い加減にしろッ」
直輝は怒鳴ると、紗英子に背を向け再びベッドに横たわった。
こんなにすぐ側にいるのに、何故か直輝の背中が随分と遠く感じられる。たった今まで、幾度も愛を交わし、熱い身体を重ねた二人なのに、こんな風に冷たくよそよそしい関係になってしまうのは何故なのか。
やはり、紗英子が余計なことを言ったのが原因だろうか。しかし、考えまいとすればするほど、疑問は大きく膨らんでゆく。
直輝の言うように、人は誰しも土足で踏み込まれたくない場所がある。心の聖域とでも呼べば良いかもしれない。そして、その聖域に立ち入ることを許せるのは、やはり、その人にとって最も近しいか、慕わしい存在であるだろう。
「直輝さんって、やけに有喜菜を庇うのね」
思わず落ちた呟きを直輝は聞き逃さなかった。
「煩い。良い加減にしろッ」
直輝は怒鳴ると、紗英子に背を向け再びベッドに横たわった。
こんなにすぐ側にいるのに、何故か直輝の背中が随分と遠く感じられる。たった今まで、幾度も愛を交わし、熱い身体を重ねた二人なのに、こんな風に冷たくよそよそしい関係になってしまうのは何故なのか。
やはり、紗英子が余計なことを言ったのが原因だろうか。しかし、考えまいとすればするほど、疑問は大きく膨らんでゆく。
直輝の言うように、人は誰しも土足で踏み込まれたくない場所がある。心の聖域とでも呼べば良いかもしれない。そして、その聖域に立ち入ることを許せるのは、やはり、その人にとって最も近しいか、慕わしい存在であるだろう。