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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
と、紗英子は夫が物問いたげにこちらを見ていることに気づいた。
「紗英―」
「直君―」
二人ともに声を発したのは、ほぼ時を同じくしていた。
「あ、そちらから、どうぞ」
「いや、お前から」
またも声が揃ってしまい、二人は顔を見合わせた。やがて、また同時にプッと吹き出してしまう。
「さっきはごめんな」
直輝が照れたように髪の毛をかいた。これも紗英子だけが知っている直輝の癖の一つ。夫は困ったときには、必ずと言って良いほど髪の毛を弄る。
「ううん、私も悪かった。ごめんなさい。直君に酷いことを言っちゃった」
紗英子は敢えて昔のように〝直君〟と呼んだ。バターを塗ったばかりのトーストを直輝に差し出す。
「紗英―」
「直君―」
二人ともに声を発したのは、ほぼ時を同じくしていた。
「あ、そちらから、どうぞ」
「いや、お前から」
またも声が揃ってしまい、二人は顔を見合わせた。やがて、また同時にプッと吹き出してしまう。
「さっきはごめんな」
直輝が照れたように髪の毛をかいた。これも紗英子だけが知っている直輝の癖の一つ。夫は困ったときには、必ずと言って良いほど髪の毛を弄る。
「ううん、私も悪かった。ごめんなさい。直君に酷いことを言っちゃった」
紗英子は敢えて昔のように〝直君〟と呼んだ。バターを塗ったばかりのトーストを直輝に差し出す。