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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
むろん、はるか昔に有喜菜には見せた大切なものを紗英子にはずっと見せなかったことは、実は重大な意味を持つとは理解している。が、ここで騒ぎ立てれば、直輝の心が自分から離れていくのは判っていた。
だから、今は我慢する。
私は直輝の妻。たとえ彼が大切なコレクションを有喜菜にだけは見せたとしても、彼が人生の伴侶として選んだのは、この私なのだ。有喜菜なんかに、彼の心は渡さない。
立場的には、有喜菜よりも自分の方がはるかに優位なのだから、こんなことくらいで動揺する必要はさらさらない。子ども同士の他愛ない出来事だと笑い飛ばして、毅然としていれば良いのだ。
「別に深い意味があって、お前に見せなかったわけじゃないんだ」
弁解のように言う直輝に向かって、紗英子は笑顔で首を振る。
「良いの、今、直輝さんが見せてくれたから、私はそれで十分」
だから、今は我慢する。
私は直輝の妻。たとえ彼が大切なコレクションを有喜菜にだけは見せたとしても、彼が人生の伴侶として選んだのは、この私なのだ。有喜菜なんかに、彼の心は渡さない。
立場的には、有喜菜よりも自分の方がはるかに優位なのだから、こんなことくらいで動揺する必要はさらさらない。子ども同士の他愛ない出来事だと笑い飛ばして、毅然としていれば良いのだ。
「別に深い意味があって、お前に見せなかったわけじゃないんだ」
弁解のように言う直輝に向かって、紗英子は笑顔で首を振る。
「良いの、今、直輝さんが見せてくれたから、私はそれで十分」