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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
夫に愛される妻。またもその言葉が頭をよぎり、紗英子は頬を赤らめた。ベランダとリビングはガラス戸一枚で繋がっている。リビングに戻ると、ソファに座り、何の気なしに液晶テレビのスイッチを入れた。
特に意識せずにリモコンを弄っている中に、次々と場面が変わる。何度目かに出たのは民放のいかにも面白くなさそうな連ドラであった。今、売り出し中の若手女優だか何だか知らないが、とにかく演技が下手である。
丁度、主演のその女優とこれは一応、若手の演技派として注目されているイケメン俳優の濡れ場真っ最中であった。
ドラマは明治初期、華族の令嬢が政変で両親やすべてのものを失いながらも、逞しく生き抜いていくいわゆる波瀾万丈ものである。ちゃんと原作小説があるのだが、そちらは最後は、ヒロイン自らが起こした紡績工場が軌道に乗り、女実業家として成功するだけでなく伯爵に見初められて玉の輿に載るというサクセス・ストーリーの王道を行く話だ。
特に意識せずにリモコンを弄っている中に、次々と場面が変わる。何度目かに出たのは民放のいかにも面白くなさそうな連ドラであった。今、売り出し中の若手女優だか何だか知らないが、とにかく演技が下手である。
丁度、主演のその女優とこれは一応、若手の演技派として注目されているイケメン俳優の濡れ場真っ最中であった。
ドラマは明治初期、華族の令嬢が政変で両親やすべてのものを失いながらも、逞しく生き抜いていくいわゆる波瀾万丈ものである。ちゃんと原作小説があるのだが、そちらは最後は、ヒロイン自らが起こした紡績工場が軌道に乗り、女実業家として成功するだけでなく伯爵に見初められて玉の輿に載るというサクセス・ストーリーの王道を行く話だ。