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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
信頼? いや、信頼というよりは、自分たち夫婦の共通の友人である彼女であるからこそ、やはり待ち望んだ赤ん坊を生むのは有喜菜であるべきだという強い想い―信念のようなものを感じたのかもしれない。
前方から小学生の一団が賑やかに歩いてくる。数人群れているのは一年生らしい。ピカピカの真新しいランドセルが冬のやわらかな陽射しに映えて眩しかった。
小さな身体にはまだ不似合いなほど大きなランドセルを背負い、彼等は歓声を上げながら歩いてゆく。可愛い一年生たちを見送りながら、紗英子は思う。
やはり、自分は間違っていない。もうすぐ、もうすぐ、可愛い子どもをこの手に抱ける。あと少し辛抱すれば、自分もあんな愛らしい子どもの母親になれるだろう。ランドセルだって、買ってあげることができる。
そうだ、生まれてくる赤ん坊が大きくなって小学校に入るときには、最高級のブランドランドセルを買ってあげよう。
紗英子は少し気分が明るくなり、軽くハミングしながら歩き始めた。有喜菜とは逆方向―マンションへ向かって足取りも軽やかに歩き始める。夫直輝と自分の住まいに。
前方から小学生の一団が賑やかに歩いてくる。数人群れているのは一年生らしい。ピカピカの真新しいランドセルが冬のやわらかな陽射しに映えて眩しかった。
小さな身体にはまだ不似合いなほど大きなランドセルを背負い、彼等は歓声を上げながら歩いてゆく。可愛い一年生たちを見送りながら、紗英子は思う。
やはり、自分は間違っていない。もうすぐ、もうすぐ、可愛い子どもをこの手に抱ける。あと少し辛抱すれば、自分もあんな愛らしい子どもの母親になれるだろう。ランドセルだって、買ってあげることができる。
そうだ、生まれてくる赤ん坊が大きくなって小学校に入るときには、最高級のブランドランドセルを買ってあげよう。
紗英子は少し気分が明るくなり、軽くハミングしながら歩き始めた。有喜菜とは逆方向―マンションへ向かって足取りも軽やかに歩き始める。夫直輝と自分の住まいに。