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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅤ(覚醒)
私は何かとんでもない間違いを犯してしまったのではないだろうか。
直輝とのささやかで平穏な幸せを棄ててまで、突き進むだけの価値があるものだったのか。思わず代理母出産なんてもう止めてしまおうかと弱い心に挫けそうになってしまう。
しかし、その度に、いや、そんなことはけしてないのだと自分に強く言い聞かせる。直輝だって、今は頑なに否定しているけれど、きっと可愛い赤ん坊の顔をひとめ見れば、紗英子のしようとしていることが間違いではないのだと判ってくれるに違いない。
自分たちは紛れもない自分たち二人の血を引く子どもを仲立ちとして、これからもまた元のようにうまくいくだろう。そんな希望的観測を無理に抱き、紗英子は、すっかり冷淡になってしまった直輝には気づかないふりをして今までどおりにふるまうしかなかった。
正月明けには、二回目の受診があった。その日も紗英子は有給を取った有喜菜と共に電車を使って二時間かけてクリニックに行った。そこでは、これからの治療の具体的計画が担当医から懇切丁寧に説明された。
直輝とのささやかで平穏な幸せを棄ててまで、突き進むだけの価値があるものだったのか。思わず代理母出産なんてもう止めてしまおうかと弱い心に挫けそうになってしまう。
しかし、その度に、いや、そんなことはけしてないのだと自分に強く言い聞かせる。直輝だって、今は頑なに否定しているけれど、きっと可愛い赤ん坊の顔をひとめ見れば、紗英子のしようとしていることが間違いではないのだと判ってくれるに違いない。
自分たちは紛れもない自分たち二人の血を引く子どもを仲立ちとして、これからもまた元のようにうまくいくだろう。そんな希望的観測を無理に抱き、紗英子は、すっかり冷淡になってしまった直輝には気づかないふりをして今までどおりにふるまうしかなかった。
正月明けには、二回目の受診があった。その日も紗英子は有給を取った有喜菜と共に電車を使って二時間かけてクリニックに行った。そこでは、これからの治療の具体的計画が担当医から懇切丁寧に説明された。