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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅤ(覚醒)
まず、有喜菜の方が投薬や注射によって妊娠しやすい体内環境を整えなければならない。一方で、紗英子もまた排卵を促す処置を受け、卵子が十分に成熟した状態で採卵、つまり体外に取り出さなければならない。そこで初めて直輝の精子を採取し、二人の卵子と精子を顕微授精で受精させる。
通常、精子に問題がなければ顕微授精は行わないとされているが、今回は紗英子自身の強い希望で、より受精率を高めるためにこの措置を取ることになった。
受精卵となった状態で注意深く成長を見守り、代理母の子宮へ戻しても良いところまで成長を待ってから、いよいよ有喜菜の子宮に戻すのだ。言葉にしてしまえばそれだけではあるが、この過程が実はとても大変なのだった。
新しい年はこの第一段階の治療から始まり、有喜菜は間を詰めて通院することになった。むろん、紗英子もそのときには必ず付き添い、必要な経費はすべて紗英子が負担した。
通常、精子に問題がなければ顕微授精は行わないとされているが、今回は紗英子自身の強い希望で、より受精率を高めるためにこの措置を取ることになった。
受精卵となった状態で注意深く成長を見守り、代理母の子宮へ戻しても良いところまで成長を待ってから、いよいよ有喜菜の子宮に戻すのだ。言葉にしてしまえばそれだけではあるが、この過程が実はとても大変なのだった。
新しい年はこの第一段階の治療から始まり、有喜菜は間を詰めて通院することになった。むろん、紗英子もそのときには必ず付き添い、必要な経費はすべて紗英子が負担した。