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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
母親の方が慌てて止めた。
「済みません」
母親の方は出産前のマタニティパジャマのまま、紗英子の方はごく普通のパジャマである。しかし、六歳の幼児にその違いが判るはずもなく、ましてや、妊娠初期であれば、お腹が膨らんでいないから、妊婦かどうかは判らない。
紗英子は微笑んだ。
「良いんですよ」
母親の方に頷いてから、男の子に優しく応えた。
「おばちゃんは赤ちゃんを産むために入院したんではないの。病気を治すために来たのよ。ボクの新しい家族は妹?」
「うん! 知早(ちさ)ちゃんっていうんだよ。名前はパパとボクで考えたの」
「そう、良い名前ね。おめでとう」
おめでとうございます、と、紗英子は母親にも笑顔で告げた。
「済みません」
母親の方は出産前のマタニティパジャマのまま、紗英子の方はごく普通のパジャマである。しかし、六歳の幼児にその違いが判るはずもなく、ましてや、妊娠初期であれば、お腹が膨らんでいないから、妊婦かどうかは判らない。
紗英子は微笑んだ。
「良いんですよ」
母親の方に頷いてから、男の子に優しく応えた。
「おばちゃんは赤ちゃんを産むために入院したんではないの。病気を治すために来たのよ。ボクの新しい家族は妹?」
「うん! 知早(ちさ)ちゃんっていうんだよ。名前はパパとボクで考えたの」
「そう、良い名前ね。おめでとう」
おめでとうございます、と、紗英子は母親にも笑顔で告げた。