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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
「でも、クリスマスはママも赤ちゃんも一緒にお祝いできるよね?」
「そうね、あと二週間もあるから、大丈夫。ママ、あさってには赤ちゃんとおうちに帰るから。たっくん、もう少しの辛抱だから、パパやおばあちゃんと待っててね」
涙がこぼれそうになり、紗英子は慌てて眼の奥で涙を堪えた。
何というささやかだけれど、幸福な光景だろう! 子どもが当たり前のようにいて、母親が子どもと微笑みながら話している。
誰もが平等に与えられるはずの幸福でありながら、何故、自分にだけ神さまは与えてくれなかったのだろう。
と、男の子がふいに顔を上げた。知らず母子を見つめていた紗英子と眼が合う。
男の子の顔に無邪気な笑みがひろがり、紗英子に物怖じせずに話しかけてくる。
「おばちゃんもお腹に赤ちゃんがいるの?」
「これ、拓也」
「そうね、あと二週間もあるから、大丈夫。ママ、あさってには赤ちゃんとおうちに帰るから。たっくん、もう少しの辛抱だから、パパやおばあちゃんと待っててね」
涙がこぼれそうになり、紗英子は慌てて眼の奥で涙を堪えた。
何というささやかだけれど、幸福な光景だろう! 子どもが当たり前のようにいて、母親が子どもと微笑みながら話している。
誰もが平等に与えられるはずの幸福でありながら、何故、自分にだけ神さまは与えてくれなかったのだろう。
と、男の子がふいに顔を上げた。知らず母子を見つめていた紗英子と眼が合う。
男の子の顔に無邪気な笑みがひろがり、紗英子に物怖じせずに話しかけてくる。
「おばちゃんもお腹に赤ちゃんがいるの?」
「これ、拓也」