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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅤ(覚醒)
私が断れないと判っているというのなら、それに乗ってあげるわ。でも、私は、けして誰にもできないことをするのよ。少なくとも、あなたにはけしてできないことを―あの男の赤ちゃんを産むのはこの私よ。
それを忘れないで欲しいわ。
そう言いたい衝動をぐっと堪え、有喜菜は心で考えていたのとは全く別の科白を口に乗せた。
―できるだけ早く進めてちょうだい。
流石に、紗英子もこの展開には面食らったようで、困惑気味の声がしばらくして返ってきた。
―有喜菜?
―代理母の話よ。引き受けると言ったでしょう。だから、早く進めて欲しいの。
―そうは言っても―。
口ごもる紗英子に、有喜菜は早口で告げた。
―決心が揺るがない中に、さっさと済ませたいの。あなたも判るでしょ。こんなことは、なかなか決断できるようで、できないことなの。
それを忘れないで欲しいわ。
そう言いたい衝動をぐっと堪え、有喜菜は心で考えていたのとは全く別の科白を口に乗せた。
―できるだけ早く進めてちょうだい。
流石に、紗英子もこの展開には面食らったようで、困惑気味の声がしばらくして返ってきた。
―有喜菜?
―代理母の話よ。引き受けると言ったでしょう。だから、早く進めて欲しいの。
―そうは言っても―。
口ごもる紗英子に、有喜菜は早口で告げた。
―決心が揺るがない中に、さっさと済ませたいの。あなたも判るでしょ。こんなことは、なかなか決断できるようで、できないことなの。