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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
 今、花柄のパジャマの上に肩から羽織っているのは、二年前にプレゼンしてくれたカシミヤのショールだ。赤と黒のオシャレなタータンチェックが印象的で、肌触りも良いし温もりもある。確か何とかいう有名なブランド物だとか直輝が言っていた。
 直輝は結婚前からオシャレでセンスもあった。何を隠そう、二人は中学時代からの同級生なのだ。元々は紗英子の親友の有喜菜(ゆきな)が直輝と同じクラスで、紗英子は有喜菜の紹介で直輝と知り合った。有喜菜と直輝が中一で同じクラスになり、席がたまたま隣同士になったことで意気投合したという。
 その後、二年で紗英子と直輝が同じクラスになり、有喜菜は一人、別のクラスになった。紗英子と直輝がつきあい始めたのはその頃からのことになる。
 身長は百七十五は越えているし、学生時代からサッカーで鍛えているから、三十代後半、いわゆる〝おじさん〟と呼ばれるようになった歳でも、余計な贅肉もついていない身体は引き締まり均整が取れている。ルックスは中学時代から並外れていて、それなりに成績も良かった。
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