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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
 しかし、その望みを絶たれた今、自分がどうやって生きていけば良いのか、紗英子はまだ新しい目的を見つけていなかった。
 未来はあまりにも混沌としていて、到底、十年先、いや、一年先のことも思い描けない。頭に浮かぶのは、ただ空しく老いてゆく自分の姿ばかりだ。これではいけないのは自分でも判っている。だからこそ、焦りもするし、落ち込むのだ。
 けれど、焦ったからといって、そう簡単に生きる目標が見つかるというものでもないだろう。だとすれば、とりあえずは明日のことを考え、小さな目標を一つずつ見つけて乗り越え達成することしかない。その中、一年先のことも考える心のゆとりが自然と生まれてくるのではないかと考えている。
 今の小さな目標は、目前に迫ったクリスマス。そういえば、紗英子は自分から直輝にプレゼントなんかしたことがなかった。いつも直輝の方が記念日のお祝いだよと言って、気の利いたものを贈ってくれるだけだったのだ。
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