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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅦ(再会)♦
直輝は小さくかぶりを振り、絶句した。
「幾ら紗英子でも、それはあり得ない」
有喜菜は泣き笑いの顔で言った。
「冗談でこんなことを言わないわ。紗英子から依頼を受けたのは去年の終わり、クリスマスの日だった。悩んだけれど、引き受けたの。処置を受けたのは三月一日で、妊娠が判ったのが三週間前」
あれから既に何度か紗英子と共にS市のクリニックに行き、妊娠は確定だと言われている。ひと月経った今では、エコーに胎児の姿も確認され、心臓が動いている様子も見ていた。
紗英子との間は別段、変わってはいない。今までにない微妙なよそよそしさは否めないが、上辺は穏やかで無難なやりとりが続いている。紗英子も今では有喜菜の私生活についてあれこれ口出しはしない。有喜菜は今でも相変わらずヒールの高いパンプスを履き、ウエストもベルトで締め上げている。
「幾ら紗英子でも、それはあり得ない」
有喜菜は泣き笑いの顔で言った。
「冗談でこんなことを言わないわ。紗英子から依頼を受けたのは去年の終わり、クリスマスの日だった。悩んだけれど、引き受けたの。処置を受けたのは三月一日で、妊娠が判ったのが三週間前」
あれから既に何度か紗英子と共にS市のクリニックに行き、妊娠は確定だと言われている。ひと月経った今では、エコーに胎児の姿も確認され、心臓が動いている様子も見ていた。
紗英子との間は別段、変わってはいない。今までにない微妙なよそよそしさは否めないが、上辺は穏やかで無難なやりとりが続いている。紗英子も今では有喜菜の私生活についてあれこれ口出しはしない。有喜菜は今でも相変わらずヒールの高いパンプスを履き、ウエストもベルトで締め上げている。