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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅦ(再会)♦
悪阻も当初予想していたほどではなく、これまでどおり軽かったので、食べたい物を食べたいだけ食べていた。要するに、妊娠したからといって、生活パターンは何も変えていない。
紗英子の表情から、言いたいことは山ほどあるようだが、少なくとも干渉や批判めいた科白はなかった。
「信じられない」
直輝は呻き、真実を否定するかのように首を振った。
「何故、紗英子は君にそんなことを?」
有喜菜は淡く笑んだ。
「それは私にも判らない。気心の知れた女友達に自分の大切な子ども生んで貰いたいと思ったのかもね」
「だからといって―」
またも直輝は言葉を失う。
一体、何をどうすれば、そんな愚かなことを考えつくというのだろうか。直輝にとってそうであるように、紗英子にとっても有喜菜は小学生時代以来の大切な親友ではないのか。
紗英子の表情から、言いたいことは山ほどあるようだが、少なくとも干渉や批判めいた科白はなかった。
「信じられない」
直輝は呻き、真実を否定するかのように首を振った。
「何故、紗英子は君にそんなことを?」
有喜菜は淡く笑んだ。
「それは私にも判らない。気心の知れた女友達に自分の大切な子ども生んで貰いたいと思ったのかもね」
「だからといって―」
またも直輝は言葉を失う。
一体、何をどうすれば、そんな愚かなことを考えつくというのだろうか。直輝にとってそうであるように、紗英子にとっても有喜菜は小学生時代以来の大切な親友ではないのか。