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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第11章 ♦RoundⅧ(溺れる身体、心~罠~)♦
男が彼女の罠にかかるのは容易かった。
有喜菜が直輝に初めてホテルに連れられていったのは、七月もそろそろ終わろうとしているある日の午後であった。
N駅付近には、ファッション・ホテルが数軒、寄り集まるように林立している。二人が入ったのは、その中の一つだった。
もちろん、有喜菜もこれが初めてではない。直輝とも既に濃厚なキスは何度か交わしている。だが、男に触れられるのは実に離婚して以来のことである。保険会社の上司や同僚に言い寄られることは度々あったし、取引先で知り合った男性から誘われることもあったが、有喜菜のガードは固かった。
もう、男には懲りていたからだ。また、好きでもない男とただ憂さ晴らしのために寝るような趣味もなかった。
だから、直輝とホテルの一室に脚を踏み入れた途端、思わず身を震わせてしまったのは演技ではなかった。
有喜菜が直輝に初めてホテルに連れられていったのは、七月もそろそろ終わろうとしているある日の午後であった。
N駅付近には、ファッション・ホテルが数軒、寄り集まるように林立している。二人が入ったのは、その中の一つだった。
もちろん、有喜菜もこれが初めてではない。直輝とも既に濃厚なキスは何度か交わしている。だが、男に触れられるのは実に離婚して以来のことである。保険会社の上司や同僚に言い寄られることは度々あったし、取引先で知り合った男性から誘われることもあったが、有喜菜のガードは固かった。
もう、男には懲りていたからだ。また、好きでもない男とただ憂さ晴らしのために寝るような趣味もなかった。
だから、直輝とホテルの一室に脚を踏み入れた途端、思わず身を震わせてしまったのは演技ではなかった。