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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第11章 ♦RoundⅧ(溺れる身体、心~罠~)♦
まだ烈しい行為の名残にたゆたっている有喜菜を直輝が背後から抱きしめる。
「もう離さない」
そっと有喜菜を抱き寄せて髪に鼻先を埋めながら、聞いている者が辛くなるような切ない口調で呟いた。
その言葉は、有喜菜の心を鷲掴みにした。
紗英、あなたが悪いのよ。
有喜菜は心の中で紗英子に呼びかける。
もう引き返せない、戻れない。
自分は二度と引き返せない修羅の橋を渡ってしまった。たとえ友と呼んだ仲であろうと、その人の夫であろうと、有喜菜は自分が直輝の掴んだ手を放すことはできないだろうと思った。
直輝が有喜菜の髪の毛をひとすじ掬う。唇を寄せられ、妖しい震えがまた全身を走る。まるで髪の毛一本一本にも神経が通っているかのようだ。
「俺の子を産むのは君だけだ」
「もう離さない」
そっと有喜菜を抱き寄せて髪に鼻先を埋めながら、聞いている者が辛くなるような切ない口調で呟いた。
その言葉は、有喜菜の心を鷲掴みにした。
紗英、あなたが悪いのよ。
有喜菜は心の中で紗英子に呼びかける。
もう引き返せない、戻れない。
自分は二度と引き返せない修羅の橋を渡ってしまった。たとえ友と呼んだ仲であろうと、その人の夫であろうと、有喜菜は自分が直輝の掴んだ手を放すことはできないだろうと思った。
直輝が有喜菜の髪の毛をひとすじ掬う。唇を寄せられ、妖しい震えがまた全身を走る。まるで髪の毛一本一本にも神経が通っているかのようだ。
「俺の子を産むのは君だけだ」