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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第11章 ♦RoundⅧ(溺れる身体、心~罠~)♦
 それが良いのだ。やはり、血の通い合った親子、夫婦が一緒に過ごすのが最も理想的なのだ。
 と、直輝が小首を傾げた。
「それは、どうかな」
 ふいに彼は表情を引き締めた。
「有喜菜に話しておかなければいけないことがある」
「なあに?」
 有喜菜は別に意図したつもりはないが、その表情がどうも直輝には子どもっぽく見えたようである。
 時々、直輝に指摘されるのだが、有喜菜自身には判らない。
―有喜菜って、本当、よく判らないよな。何かこう、ぞくってくるほど色っぽいと思いきや、俺たちが知り合った中学生の頃と変わらないみたいに無邪気な表情するんだもんな。
 そんな時、直輝は決まって、まるで眩しいものでも見るような視線をくれる。
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