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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第12章 ♦予知夢~黒い霧~♦
 処置が適切で何とか間に合ったこともあり、手術は無事に終わり、母子共に異常はないと聞かされ、紗英子の眼に涙が溢れた。
 不妊治療を受ける患者は別棟の不妊治療外来に行くが、妊娠確定後も一般の妊婦たちと同じ扱いではなく、従来の不妊治療外来で経過を診る。特に代理出産のようにデリケートでプライバシーの守秘を厳重にする必要がある場合は、こちらですべてが行われる。
 しかし、それも出産から後は一般の産婦人科病棟に移り、一般のお産と同じように扱われた。
 新生児室は、その一般病棟の三階にあった。向かいにナースステーションが見え、新生児室は全面がガラス張りの窓になっており、来院者たちからも内部の様子が見られるようになっている。
 今もたくさんの赤ちゃんたちがコット(移動式のベビーベッド)に寝かせられている。大声で泣きわめく強者や、すやすやと寝入っている落ち着き屋もいて、生まれたての赤ちゃんとはいえ、人間というものは、こうまで早々と個性を持っているのかと愕かされる。
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