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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第12章 ♦予知夢~黒い霧~♦
「有喜菜、有喜菜ね? あの子が代理母だっていうことを自分からあなたに告げたのね。あれほど直輝さんには話さないでって頼んでおいたのに、あの裏切り者、泥棒猫!」
口汚く罵る紗英子を、直輝が哀れむような眼で見つめた。
「止さないか。有喜菜のことは俺たちの離婚には一切関係ない。確かに俺は」
そこで、直輝はひとたび言葉を句切り、うつむく。そのままの体勢で言葉短く告げた。
「俺は有喜菜を必要としている」
その言葉に、紗英子はカッとなった。夫はあくまでも紗英子を見ようとはしない。
「有喜菜は必要としていて、私はもう必要ではない、つまり用済みっていうことなのね? あの女は自分が代理母だって告げて、あなたの気を引いたんだわ」
直輝の声にやりきれないものが滲んだ。
「彼女は生命賭けでお前の子どもを生んでくれた恩人だろう」
口汚く罵る紗英子を、直輝が哀れむような眼で見つめた。
「止さないか。有喜菜のことは俺たちの離婚には一切関係ない。確かに俺は」
そこで、直輝はひとたび言葉を句切り、うつむく。そのままの体勢で言葉短く告げた。
「俺は有喜菜を必要としている」
その言葉に、紗英子はカッとなった。夫はあくまでも紗英子を見ようとはしない。
「有喜菜は必要としていて、私はもう必要ではない、つまり用済みっていうことなのね? あの女は自分が代理母だって告げて、あなたの気を引いたんだわ」
直輝の声にやりきれないものが滲んだ。
「彼女は生命賭けでお前の子どもを生んでくれた恩人だろう」