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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 ほどなく先刻のウェイターが銀の丸盆に湯気の立つコーヒーとチーズケーキ、アイスティーをのせて運んでくる。
 早速、大きな口を遠慮なく開けてチーズケーキを頬張る友を横目に見、紗英子はストローをくわえた。
 絶対に嘘だ。特別なサプリメントを摂取しているなら別として、食べ放題に食べて、これだけの体型を維持できるはずがない。
 やはり、有喜菜は家では慎ましい食事をしているに違いない。紗英子の前では良い格好をしているだけなのだろう。
 ―と、ここまで考えて、紗英子はハッとした。
 私ったら、どうして、こんなことを考えてるの?
 直輝とは中学からの付き合いだったが、有喜菜は同じ小学校出身だ。五年生の春、有喜菜は大阪の小学校から転校してきたのだ。その頃から少し大人びたボーイッシュな少女だったが、内面も面倒見が良い姉御膚で、紗英子とは不思議にすぐ仲良くなった。家同士が近いこともあったのかもしれないが、性格がまるで対照的なところも良かったのだろう。
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