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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 紗英子はまた物想いに沈んだ。どうして、今日、自分は親友をまるで品定めか観察でもするかのように眺めてしまうのだろう。少なくとも、手術すると決まったと知らせて逢ったときには、こんなことはなかったはずだ。
 最後に逢ったのはまだ二ヶ月ほど前でしかないのに、自分は随分と変わった―いや、有喜菜を見つめる視線が変化したような気がする。しかも、それはあまり良い意味での変化ではない。
 そこで、紗英子はまた我に返った。有喜菜がじいっと見つめているのだ。
「どうかした?」
「紗英こそ、どうしたの? 何だか怖い顔して睨みつけられてるような気がするんだけど、気のせいかな」
「ま、まさか」
 内心、心の中を見透かされたようで慌てたし、面白くなかった。
「何で、私が有喜菜を睨みつけなきゃならないの?」
 取り繕うように愛想笑いを貼り付けた。
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