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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「そうよね。ごめん、私ったら、何てことを口にしたのかしら」
 有喜菜は舌を出す。見かけの妖艶さと時折、見せる子どもっぽい仕草のギャップすら、堪らない魅力に思える。これだけの良い女なら、さぞかしモテるだろうなどと、ぼんやりと考える。
「でも、良かった」
「何が?」
 有喜菜は邪気のない笑みで応えた。
「だって、本当に元気そうなんだもの。心配してたのよ、これでも」
 出かける前、スッピンの自分はまるで死人のような悲惨な顔色をしていた。それで、顔色が良いなどとよく言えたものだ。紗英子は探るように有喜菜の顔を窺い見たけれど、彼女の真意は向日葵の花のような笑顔の下に巧妙に隠されている。
 いや、そんな風に考える自分がやはり、どうかしているのだろうか。
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