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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「相変わらず直輝はあなたを大切にしてるのね。愛されてるのよねえ」
 有喜菜の反応にいささか戸惑いながらも、紗英子は鷹揚に頷く。
「そうなのかしら? よく判らないけど、大切にして貰っているとは思うわ」
 有喜菜は最後のチーズケーキの欠片を口に放り込んだ。
「―幸せ?」
 予想外の質問に、紗英子は息を呑む。
「判らない。長年の夢だった赤ちゃんを産むっていう選択肢もなくなったしね」
 今日だけはけして弱音は吐かないと決めていたのに、思わぬ質問だったから、つい本音が出てしまった。
 後悔しても遅い。何とか体勢を立て直そうと次の言葉を探していると、有喜菜は小さく首を振った。
「紗英は幸せだよ。そんなこと言っちゃ駄目。大切にしてくれる旦那さんがいて、家族がいる。今の幸せを大切にしなきゃ。責任感が強くて優しいあいつのことだから、今、直輝は全力で紗英を支えようとしていると思う。だから、そんなことを言わないで、直輝の気持ちにもなってやって」
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