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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「直輝って、時計集めが趣味みたいなところがあるのよ」
「時計を集めるのが趣味?」
 紗英子は首を傾げる。夫にそんな趣味があっただろうか。記憶を手繰り寄せてみても、思い当たる節はなかった。
「そんな趣味が彼にあったかしら」
「私が前に直輝の家に遊びにいった時、見せてくれたのよ。もう引き出しに溢れんばかりに一杯。もちろん、中学生が集めたものだから、そんなに高価なものはなかったけれどね」
「知らなかったわ。直輝さんにそんな趣味があるのも、有喜菜が彼の家に遊びにいったことがあるのも」
 つい語調がきつくなってしまったのに、有喜菜が気づいたようだ。
「別にたいしたことじゃないわよ。私たちがまだ中一の頃の話よ。ほら、紗英と私が別のクラスで、私と直輝が同じクラスになったとき。あの頃に、何度か直輝の家に行ったことがあるの」
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