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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「それじゃあ、折角教えて貰ったんだし、時計にするわ。ありがとう。私の知らないことを教えてくれて」
 最後には可能な限りの皮肉を込めておいた。
「いいえ、どういたしまして」
 曖昧な笑顔を浮かべる有喜菜の顔が一瞬、複雑そうに歪んだことに、迂闊にも紗英子は気づかなかった。
「それにしても、愕いた。直輝さんに腕時計を集める趣味があっただなんて。私の知る限り、いつもホームセンターで買った千円の時計を填めてるだけだけど」
 それでも首をひねりながら呟くのを、有喜菜は聞き逃さなかったらしい。
「そんなに疑うのなら、帰って直輝に訊いてみると良いわ」
 どこか投げやりにも聞こえる有喜菜の声が響いてきた。
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