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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 有喜菜とは何となく気まずいまま、紗英子はそれからまもく別れた。有喜菜はこれから職場に戻るという。
―病気の友達の見舞いに行くからって、昼休みを特別に延長して貰ったのよ。
 勤務時間内に逢えたことについてそう言い訳した。だが、それほど時間の融通がきくくらいなら、何故、入院している最中に直接、病院に来なかったのか?
 有喜菜の職場も同じN市内にあり、紗英子の入っていたクリニックからはそう遠くない距離なのだ。わざわざ丸一日の休みを取らなくても、今日のように少し昼休みを延長して貰っただけで来られただろうに。
 そこで、紗英子は首を振った。どうも今日の自分は長年の親友を悪い眼で見ようとばかりしている。女性にとって子宮を取るというのは大変なことだ。既に子どもを生み終えた年老いた女性ならともかく、子どものいない妊娠を希望する女にとっては、一大事なのだ。
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