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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 宮参りの写真、か。
 それで皆、盛装していたわけだ。母親に至っては淡いベージュに花模様の訪問着だったし、父親の方も背広姿、拓也も子ども用のスーツを着ていた。
 この地下街には、こじんまりとした写真スタジオも入っている。恐らくは、そこで宮参りの写真を撮ってきたに違いない。最近はこういう家族の記念写真を撮るのがブームで、どこの写真館も力を入れていると聞く。紗英子の友人たちから毎年、正月に送られてくる年賀状にも、明らかに写真館で撮ったらしい記念写真がよく使われていた。
 紗英子は重い溜息をついていた。
 母親のあの失礼な態度にも腹が立たないわけではなかったけれど、むしろ傷ついたのは、眼前に突きつけられた家族のいかにも幸せそうな光景だった。
 何で、私には、あんなごく当たり前の幸せが与えられなかったのかな。
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