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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「おい、良いじゃないか。折角下さったんだ。失礼だぞ」
見かねたのか、傍らに立っていた男性が割って入った。ピンクのウサギの着ぐるみを着た赤ん坊を抱いているところからして、拓也の父親だろう。
「こういうことは、言いにくいからこそ、きちんと言った方が良いのよ」
暗に〝あなたは黙っておいてちょうだい〟と言わんばかりの態度に、夫も鼻白んだように押し黙った。
「おばちゃん、今日ね、ちさちゃんのお宮参りの写真を撮ってきたの。あそこの写真スタジオでね―」
大人たちの間に漂う気まずさなど頓着せず、拓也が紗英子に話しかける。
「拓也! 余計なことは話さなくて良いの。それでは、私たちは先を急ぎますもので、失礼します」
母親は、まだ何か話したそうにしている拓也の手を握ると、一礼して足早に通り過ぎていった。父親の方が申し訳なさそうに頭を下げ、赤ん坊を抱いたまま後を追いかける。
見かねたのか、傍らに立っていた男性が割って入った。ピンクのウサギの着ぐるみを着た赤ん坊を抱いているところからして、拓也の父親だろう。
「こういうことは、言いにくいからこそ、きちんと言った方が良いのよ」
暗に〝あなたは黙っておいてちょうだい〟と言わんばかりの態度に、夫も鼻白んだように押し黙った。
「おばちゃん、今日ね、ちさちゃんのお宮参りの写真を撮ってきたの。あそこの写真スタジオでね―」
大人たちの間に漂う気まずさなど頓着せず、拓也が紗英子に話しかける。
「拓也! 余計なことは話さなくて良いの。それでは、私たちは先を急ぎますもので、失礼します」
母親は、まだ何か話したそうにしている拓也の手を握ると、一礼して足早に通り過ぎていった。父親の方が申し訳なさそうに頭を下げ、赤ん坊を抱いたまま後を追いかける。