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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 男と女の愛情表現としての手段。
 思わず笑ってしまう。この男は一体、何を考えているの? ここまで妻を言葉で貶めておいて、今更、愛情表現の手段ですって?
「おい、何がおかしいんだ。俺は真剣に話してるんだぞ」
 普段はあまり怒らない直輝が露骨にムッとした表情を見せている。
「今になって、よく言うわね。お生憎さま、今度はあなたが〝義務〟とやらから解放されて、その気になったのかどうか知らないけれど、私が嫌なの」
「お前、自分が何を言っているのか、判ってるのか?」
 紗英子は唇を引き上げた。
「あら、男はセックスを拒んでも許されるのに、妻は同じことをしても許されないとでも言うの? 私が今夜、あなたの求めに応じなければ、離婚するとでも?」
 紗英子は直輝から顔を背けた。
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