この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
いずれ、お互いの考えていることは遅かれ早かれ表に出ただろう。
紗英子はこれまで大いなる勘違いをしていたらしい。少なくとも夫が治療に対して肯定的ではないにせよ、治療を強く望む紗英子自身までをも否定しているとは考えたこともなかったのだ。
だが、今の夫の言葉は、はっきりと紗英子という人間そのものを拒絶していた。
「あなたが私についてどう感じていたかはよく判ったわ。でも、なら、何で今なの? もう幾ら身体を重ねたとしても、赤ちゃんはできないわ。そんな無意味な行為に、何の価値があるというの?」
紗英子は淡々と言った。
直輝が形の良い眉をかすかに顰める。
「別にセックスは子作りだけのためにするものじゃないだろ。夫婦の間のコミュニケーションのためでもあるし、男と女の愛情表現としての手段じゃないのか?」
紗英子はこれまで大いなる勘違いをしていたらしい。少なくとも夫が治療に対して肯定的ではないにせよ、治療を強く望む紗英子自身までをも否定しているとは考えたこともなかったのだ。
だが、今の夫の言葉は、はっきりと紗英子という人間そのものを拒絶していた。
「あなたが私についてどう感じていたかはよく判ったわ。でも、なら、何で今なの? もう幾ら身体を重ねたとしても、赤ちゃんはできないわ。そんな無意味な行為に、何の価値があるというの?」
紗英子は淡々と言った。
直輝が形の良い眉をかすかに顰める。
「別にセックスは子作りだけのためにするものじゃないだろ。夫婦の間のコミュニケーションのためでもあるし、男と女の愛情表現としての手段じゃないのか?」