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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
が、夫の直輝は違った。二人ともにまだ二十代半ばであったことも関係したのだろう。直輝は頑なに病院へ行くことを拒んだ。
夫婦で何度も押し問答を繰り返した挙げ句、やっと病院の不妊外来を受診した。その時、既に結婚して五年になろうとしていた。夫婦でひととおりの検査を受けた結果、直輝の方には全く異常が見られなかった。問題は紗英子の方にあったのだ。
それを知った時、紗英子は泣いた。子どもを持てないかもしれない自分を憐れだと思う一方、直輝に申し訳ないと心から済まなく思ったのである。
生理不順、卵管の閉塞による排卵障害、更に子宮筋腫と幾つもの障害や疾病があることが解り、まずはその治療から始まった。それもまた紗英子にはもどかしくてならなかった。
紗英子の大学時代の友人にも、長らく不妊で悩んでいた友達はいた。その友人は結婚して三年目に受診したところ、検査でも特に原因はなく、二、三度の通院と薬の処方で容易く妊娠したと聞いていた。
夫婦で何度も押し問答を繰り返した挙げ句、やっと病院の不妊外来を受診した。その時、既に結婚して五年になろうとしていた。夫婦でひととおりの検査を受けた結果、直輝の方には全く異常が見られなかった。問題は紗英子の方にあったのだ。
それを知った時、紗英子は泣いた。子どもを持てないかもしれない自分を憐れだと思う一方、直輝に申し訳ないと心から済まなく思ったのである。
生理不順、卵管の閉塞による排卵障害、更に子宮筋腫と幾つもの障害や疾病があることが解り、まずはその治療から始まった。それもまた紗英子にはもどかしくてならなかった。
紗英子の大学時代の友人にも、長らく不妊で悩んでいた友達はいた。その友人は結婚して三年目に受診したところ、検査でも特に原因はなく、二、三度の通院と薬の処方で容易く妊娠したと聞いていた。