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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
だから、自分たちの場合も大方はそんなものだろうくらいに楽観的に考えていた。しかし、現実はあまりに厳しいものだった。
とはいえ、まずは体調を整え、すみやかに妊娠できる身体作りをしなければならないというのなら、やるしかなかった。紗英子はとにかく子どもが生みたかったのだ。いささかオーバーな言い方かもしれないけれど、喉から手が出るほど欲しいと思っていたと言っても過言ではなかった。紗英子自身は一人っ子で淋しい想いをして育ったから、自分は結婚したら、二人以上は生むのだと決めていたのだ。
治療が始まった。二週間に一度の通院は、バスや電車を乗り継いで片道二時間を要する。それでも、紗英子は根気よく通院を続けた。そこの病院は県下でも有名な不妊治療専門医がいて、現実に妊娠を希望する不妊カップルの五組に一組が妊娠に成功しているという実績がある。そこ以外には考えられなかった。
とはいえ、まずは体調を整え、すみやかに妊娠できる身体作りをしなければならないというのなら、やるしかなかった。紗英子はとにかく子どもが生みたかったのだ。いささかオーバーな言い方かもしれないけれど、喉から手が出るほど欲しいと思っていたと言っても過言ではなかった。紗英子自身は一人っ子で淋しい想いをして育ったから、自分は結婚したら、二人以上は生むのだと決めていたのだ。
治療が始まった。二週間に一度の通院は、バスや電車を乗り継いで片道二時間を要する。それでも、紗英子は根気よく通院を続けた。そこの病院は県下でも有名な不妊治療専門医がいて、現実に妊娠を希望する不妊カップルの五組に一組が妊娠に成功しているという実績がある。そこ以外には考えられなかった。