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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
それでも大人同士のことだから、こうして何もなかったような顔で毎日を何とかやり過ごしている。
よく離婚するには結婚を決意するときの倍以上のエネルギーを要するといわれる。あれは満更、嘘ではないだろう。現に、紗英子も今から直輝と別れて、また別の人生を生きようという気にはなかなかなれない。
また別の男と出逢い、その男を好きになり、新しい家庭を築く。しかも、その選択肢に子どもを持つという夢は付属しない。
かといって、結婚もせずに一人だけでひたすら歳を重ねていくというのも、あまりに空しく淋しすぎた。それに、三十五にもなった女が何の仕事をして生きていけば良いというのか。
紗英子は地元のN大の英文科を卒業し、一年間は市役所で臨時職員として働いていた。一年勤務した後、直輝と結婚したのだ。
つまり、大学を卒業してからは殆どの時間を家庭で過ごしたと言って良い。そんな世間知らずで何の特技も資格もない主婦に何ができる?
よく離婚するには結婚を決意するときの倍以上のエネルギーを要するといわれる。あれは満更、嘘ではないだろう。現に、紗英子も今から直輝と別れて、また別の人生を生きようという気にはなかなかなれない。
また別の男と出逢い、その男を好きになり、新しい家庭を築く。しかも、その選択肢に子どもを持つという夢は付属しない。
かといって、結婚もせずに一人だけでひたすら歳を重ねていくというのも、あまりに空しく淋しすぎた。それに、三十五にもなった女が何の仕事をして生きていけば良いというのか。
紗英子は地元のN大の英文科を卒業し、一年間は市役所で臨時職員として働いていた。一年勤務した後、直輝と結婚したのだ。
つまり、大学を卒業してからは殆どの時間を家庭で過ごしたと言って良い。そんな世間知らずで何の特技も資格もない主婦に何ができる?