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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
二日後はクリスマスだった。
部屋の灯りを消した淡い闇の中で、キャンドルの灯りだけが揺れている。
紗英子が焼いたブッシュド・ノエル。樹の切り株を模したケーキは純白(ホワイト)の雪(・スノー)を思わせる生クリームをたっぷりと塗り、紅いチェリーとサンタとトナカイの砂糖菓子で飾り付けられている。
ケーキを囲む紗英子と直輝の傍らでは、愛らしいツリーが全身に煌めくイルミネーションを光の衣のように纏い、いかにもイブの夜らしい雰囲気を作り出していた。
蝋燭の他にはツリーの灯りだけしかない、幻想的な空間に、直輝の端正な顔が浮かび上がって見える。
これで二日前の出来事がなければ、申し分のないイブの夜になるはずであった。
あれから、二人の間には常に緊張した空気が漂っている。それは例えるなら、細い針でほんのひと突きしただけで音を立てて割れそうな風船にも似ていた。
部屋の灯りを消した淡い闇の中で、キャンドルの灯りだけが揺れている。
紗英子が焼いたブッシュド・ノエル。樹の切り株を模したケーキは純白(ホワイト)の雪(・スノー)を思わせる生クリームをたっぷりと塗り、紅いチェリーとサンタとトナカイの砂糖菓子で飾り付けられている。
ケーキを囲む紗英子と直輝の傍らでは、愛らしいツリーが全身に煌めくイルミネーションを光の衣のように纏い、いかにもイブの夜らしい雰囲気を作り出していた。
蝋燭の他にはツリーの灯りだけしかない、幻想的な空間に、直輝の端正な顔が浮かび上がって見える。
これで二日前の出来事がなければ、申し分のないイブの夜になるはずであった。
あれから、二人の間には常に緊張した空気が漂っている。それは例えるなら、細い針でほんのひと突きしただけで音を立てて割れそうな風船にも似ていた。