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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
応えはNOだ。何事にも潔癖で周囲からはいささか面白くないとまで評される常識家の自分。そんな自分が浮気を認めた夫を許せるとは思えない。今の安定した暮らしを失いたくないのであれば、ひたすら口をつぐんで知らないふりを通すしかないのだ。
だが、本当のところ、自分は何を望んでいるのだろうか。夫に守られる安穏な主婦としての日々? それとも、直輝自身を失いたくないと思っている? 彼を誰にも渡したくないと思っているのか?
多分、そのどちらもが本音なのに違いない。自分では認めたくないけれど、この男に愛想が尽きたと言いながらも、心のどこかで自分はまだ夫を愛している。手放したくないと思っている。
だが、直輝の方はどうなのだろう。昨夜の言葉を聞いた限りでは、あまり見込みはなさそうに思える。あれを聞かなければ、入院中、彼が見せてくれた数々の優しさや労りを心から信じ、彼はまだ自分を愛していると信じられたことだろうが。
だが、本当のところ、自分は何を望んでいるのだろうか。夫に守られる安穏な主婦としての日々? それとも、直輝自身を失いたくないと思っている? 彼を誰にも渡したくないと思っているのか?
多分、そのどちらもが本音なのに違いない。自分では認めたくないけれど、この男に愛想が尽きたと言いながらも、心のどこかで自分はまだ夫を愛している。手放したくないと思っている。
だが、直輝の方はどうなのだろう。昨夜の言葉を聞いた限りでは、あまり見込みはなさそうに思える。あれを聞かなければ、入院中、彼が見せてくれた数々の優しさや労りを心から信じ、彼はまだ自分を愛していると信じられたことだろうが。