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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
紗英子が想いに耽っていると、ふいに間近で深みのある声が響いた。
「ハッピー・クリスマス」
ざっくりとした緑のタートルセーターに、チャコールブラウンのゴーデュロイのズボンは彼のモデル並の体躯を際立たせている。近づいた拍子に、夫がいつもつけているローションの香りが鼻腔をくすぐった。
深い森林を思わせるような、ほのかな白檀の香り。
直輝の差し出された大きな手のひらには、不似合いなほど小さな箱が乗っていた。深紅の艶やかな紙で包まれ、緑のリボンが愛らしくかかっている。
「今年は結婚記念日も祝えなかったから。少し奮発しておいた」
その声音にはほのかな甘ささえ滲んでいて。到底、わずか二日前に夫婦にとっては致命的な喧嘩をしたとは思えないような様子である。もし、これが演技なのだとしたら、直輝は容貌だけでなく、演技力もソン・イルグク級だということになる。
「ハッピー・クリスマス」
ざっくりとした緑のタートルセーターに、チャコールブラウンのゴーデュロイのズボンは彼のモデル並の体躯を際立たせている。近づいた拍子に、夫がいつもつけているローションの香りが鼻腔をくすぐった。
深い森林を思わせるような、ほのかな白檀の香り。
直輝の差し出された大きな手のひらには、不似合いなほど小さな箱が乗っていた。深紅の艶やかな紙で包まれ、緑のリボンが愛らしくかかっている。
「今年は結婚記念日も祝えなかったから。少し奮発しておいた」
その声音にはほのかな甘ささえ滲んでいて。到底、わずか二日前に夫婦にとっては致命的な喧嘩をしたとは思えないような様子である。もし、これが演技なのだとしたら、直輝は容貌だけでなく、演技力もソン・イルグク級だということになる。