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100万本の赤い薔薇
第7章 もう一つの嵐
週末は茉莉子の仕事部屋を少し片付けて結依の荷物を入れて、
長谷川の服などを茉莉子の寝室に運んだ。

ついでに、部屋中の空いたクローゼットや棚、床も丁寧に掃除をすると、
スッキリした気持ちになった。


買い整えたばかりの結依の服はともかく、
長谷川の服はなかなか見ものだった。

仕事用のスーツやシャツは、
きちんとクリーニング屋で手入れはしてあったが、
部屋着や下着などは本当に洗いっぱなしのものをカゴに突っ込んだままで、
まるで男子学生の下宿の押し入れの中のようだった。


「あらあら」と言いながら、
洗い直したり畳んだりアイロンを掛けたりして、

「確かにこれは、
お買い物行かなくてはね!」と笑った。

「部下の方とか取引先の方と偶然休日に会った時なんかに、
こんなヨレヨレの格好を見たら、びっくりしてしまうわ!」

そして、階下の部屋にも、
2組ずつ、長谷川と茉莉子の部屋着を置いた。

ベッドのシーツなども纏めて洗濯して、
新しく交換した。


結依の部屋も、勉強で集中したいこともあるかもしれないと、
服も少し残して、
ベッドのシーツなどもついでに洗濯をして交換しておいた。


食材の買い物やモカの散歩、
そして、洋服の買い足しなどをしてのんびり過ごした。


月曜日には、拓人と茉莉子は2人で連れ立って初老の弁護士の処に行った。

亡くなった拓人の父親の遺言書を開封して、
相続の手続きを依頼する為だ。

驚くことに相続人は拓人だけでなく、茉莉子の名前も連ねてあり、
1/2ずつの割合だった。

茉莉子宛に鍵の掛かった箱と鍵もあると渡されたが、
そこで開けるのは躊躇われたので持ち帰ることにした。

良子の葬儀については、
取り仕切るつもりはないことを改めて伝えて、
全て一任することと、
費用がかかるならば彼女の遺産の中から費用を出して欲しいと言った。

そして、その後何か手続きが必要な場合は、
佐々木弁護士に連絡するように伝えた。
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