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100万本の赤い薔薇
第9章 旅立ちの準備
室内に戻ると、
茉莉子はソファで眠っていた。


佐々木は、そうだ!と言ってスーツケースを開けると、
荷物の中から少し皺になった紙袋を二つ出した。


ひとつは、茉莉子の母親からだというお土産で、
美しい彩色と装丁がされた絵本だった。

「本当は拓人くん用にだったのを、ずっと持ってたんだって」

「じゃあ、僕が読んでから、
読み聞かせてあげようかな?」と言って、
嬉しそうに開いていた。

「えっ?英語?」

「フランス語のヤツは、ママさんのパートナーからだって」

「フランス語のは、私が読んでから読み聞かせる!
学校で習ってるから」と結依が言った。


そして、もう一つの水色の紙袋を手にすると、
佐々木は長谷川を見て言った。


「これ、指輪じゃないけど、
他の男に貰ったアクセサリーなんて、
先輩、嫌な気持ちしますよね?
ダイヤのピアスです。
本店で買った時は、下心満々でした。
帰国したら、改めて交際申し込もうと思ってたくらいで気張って買いました。
勿論今も、茉莉子のことは大好きだけど、
なんていうか、戦友みたいな、兄妹みたいな気持ちです。
本当に。
もし、先輩が嫌でなかったら、
結婚のお祝いとして、贈らせてください」


途中で茉莉子は目を醒ましていたが、
話しに入るきっかけを失っていた。
そして涙が溢れてしまっていた。


震えてる茉莉子に気づいたのは、長谷川だった。
涙を拭って身体を起こしてやると、

「俺は、佐々木の気持ち、嬉しく思ってるよ。
茉莉子、どうする?」


「亮太さんが嫌な気持ちにならないなら、
私…まこちゃんの気持ち、受け取ります」と言って微笑んだ。


「ありがとう。茉莉子」
と言って、佐々木が紙袋を渡すと、


「まこちゃん、ダメだな。
ちゃんと袋から出して、箱を開けながら、
跪いて渡すんだよ」
と茶化した。


「こら!」と結依を長谷川がたしなめると、

「そうだよ。
男心を踏み躙るなよ」と拓人まで言う。


「ふーん。
なんだ。男同士、仲良しじゃん」と、
少しぶっきらぼうに結依が言った。


「これ、お守りがわりに身につけるわね。
まこちゃん、ありがとう」と茉莉子は両手で紙袋を受け取った。


「女子にプレゼントしたくなったら、
結依が貰ってあげるからね」とふざけて言うと、
また、長谷川が、
「こらっ」とたしなめたのだった。
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